2013年3月31日日曜日

日本の大学は再生可能か


セクハラで上智短大学長を解職 学生に携帯メール60通


http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY201303290409.html

上の記事を読んで、嫌な事を思い出した。大学でのセクハラだ。
十数年前のことになるが、私が学生として所属していた某TH大学で、セクハラの現場を目撃したことがある。

U教授である。プロジェクターを使って研究発表をしている薄暗い教室で、Uは学生達にお説教めいた話をしながら、座っているある女子学生Aに後ろから近づくと、一瞬、決意に似た緊張の表情をうかべてから、ぐっと女子学生Aの肩を鷲掴みにした。

それは励ましのジェスチャーとして肩をポンと叩く仕草を装っていたが、明らかに異なる種類の動作だった。手の平までべったりと女子学生Aの肩に張り付き、指先は女子学生Aの体に食い込むほどに見えた。

かわいそうに女子学生Aは震え上がっていた。
驚きと恐怖は大変なものだったろう。

この女子学生Aは大学院生で、U教授とは懇意だった。単に懇意であったばかりでなく、U教授が好意を寄せていることは傍目にもそれと知れていた。U教授はもう定年間近の老人で妻子もあったが、女子学生Aも出席していた別の講義の最中に「歳の差を越えた恋愛感情もあるということを理解して欲しい」などと、講義の内容にこじつけて口説いたりもしていた。

女子学生AがU教授のことをどう思っていたか私は知らないし、その後どうしたのか、顛末がどうなったのかも分からない。しかし卒業してしまえば教授との関係の切れる学部学生とは異なり、研究者志望の大学院生にとって、人事権を握る教授に対して批判めいた言動などできるものではなく、たとえ女子学生Aが内心どんなに嫌がっていたとしても、大学のセクハラ対策窓口に相談することはできなかっただろう。

ましてU教授は、「K大の誰それは俺が教授にしてやったんだ」云々といったことを聞かれてもいないのに自分から話すような人物である。当時は私自身もU教授の「指導」を受ける学生の立場だったから、くやしいが何もできなかった。

今こんなことを書けるのは、幸か不幸かその研究室とは何の関係もない立場になっているからに他ならない。

TH大学は日本屈指の名門大学だが、このセクハラの件の少し前に、別の研究室でセクハラ事件があった。そちらはメディアでも取り上げられたのでご記憶の方も多かろう。その件と、U教授の件がどれほど違うのか、違わないのか。

いすれにしても、教授の学生に対する立場の絶対的な優位のために、この様な事例がごく日常的に繰り返されていながら大学の外に知られるケースが稀であることは想像に難くない。